【日本でも受付開始】「デジタルノマドビザ」とは?制度について解説
皆さんはデジタルノマドビザという制度をご存じでしょうか。実は今ヨーロッパを中心に注目を集めており、日本でも2024年4月より施行された今世界で一番ホットな制度です。
今回は、そんなデジタルノマドビザについて、どういう制度なのか解説していきます。
デジタルノマドビザは、制度を利用する側だけでなく、コワーキングスペースなどを運営・経営する経営者の方にも、新たなビジネスチャンスを創出するきっかけとなる制度ですので必見です。
デジタルノマドとは?
そもそも、「デジタルノマド」とはどういう意味なのでしょうか。デジタルノマドとは「IT技術を駆使して働く場所に縛られず、場所を移しながら仕事をする働き方」のことを指します。
ITエンジニアやWebデザイナー、ライターなど端末とネットワーク環境があれば仕事ができる職種がこの「デジタルノマド」に該当します。
デジタルノマドビザとは?
では、デジタルノマドビザとはどういう制度なのでしょうか。「ビザ」は皆さん聞いたことありますよね。外国へ入国・滞在する際に必要になるいわば「入国許可証」ともいえるものです。
日本では、観光目的であれば「観光ビザ」、就労目的であれば「就業ビザ」の取得が必要となります。(中にはビザを免除している国もあります。)
そしてデジタルノマドビザは、「デジタルノマド」を対象としたビザのことを指します。
デジタルノマドビザのメリット・デメリット
では、デジタルノマドビザとその他のビザでどのような違いがあるのでしょうか。ここからは、日本を例にしてデジタルノマドビザのメリット、デメリットを紹介します。
デジタルノマドビザのメリット
デジタルノマドビザのメリットは以下の3点です。
- 観光ビザに比べて長期滞在が可能
- 取得要件や必要書類が少ない
- 家族も一緒に滞在することができる
1.観光ビザに比べて長期滞在が可能
日本の場合、観光ビザでの滞在は最長90日となっており、腰を落ち着けて仕事をするにはかなり慌ただしくなる期間となっていました。しかし、デジタルノマドビザの場合は最長6カ月滞在が可能となっており、仕事に観光にとノマドワーカーならではの働き方に十分な滞在期間を得ることができます。
2.デジタルノマドにとって取得条件が緩く、住民登録も不要
日本の場合、長期滞在を目的とする場合、就業ビザや一般ビザの取得が必要となります。この内、就業ビザは、日本で収入を得て働くためのビザとなるため、収入源が他国となるノマドワーカーは取得することができません。
一般ビザについても、留学や研究・研修などの場合に限りますので、こちらもノマドワーカーとは条件が合いません。
しかし、デジタルノマドビザはデジタルノマドを対象としたビザとなりますので、デジタルノマドであれば必然的にある程度の条件を満たすことができます。
また、デジタルノマドビザでの滞在であれば、住民登録の必要もなく、滞在期間中の住民税なども支払わなくてよくなります。
3.家族も一緒に滞在することができる
デジタルノマドビザであれば、デジタルノマドの配偶者や子供も一緒に申請することができます。滞在期間もデジタルノマド同様、最長6カ月滞在することができます。そのため、家族揃って異国の文化に触れながら生活することができます。
デジタルノマドビザのデメリット
さて、そんな魅力的なデジタルノマドビザにもデメリットは存在します。ここからは再び日本を例にデジタルノマドビザのデメリットについて、紹介します。
デメリットは以下の3点
- 長期賃貸契約が難しい
- 滞在期間の更新はできない
- 滞在国で収入を得ることができない
1.長期賃貸契約が難しい
通常日本に3カ月以上在留する外国人の方には在留カードが発行されますが、デジタルノマドビザの場合は在留カードが発行されません。そのため、賃貸業者によっては、賃貸の契約を結ぶのが困難になる可能性があります。
また、6カ月という長くもなくかといって短くもない期間も賃貸業者に敬遠される部分になります。
そのため、滞在期間中は短期契約の賃貸もしくはホテルでの生活となるため、滞在期間が長くなればなるほどコストがかさむというデメリットがあります。
2.滞在期間の更新はできない
デジタルノマドビザは最長6カ月までとなっており、滞在期間の更新(延長)はできません。そのため、6カ月を超えないように出国の準備をしないといけないため、場合によっては出国間近の期間は慌ただしくなってしまうでしょう。
ただ、一度出国すれば再度、申請することは可能ですので、期限さえ守ればそこまでのデメリットはないと言えます。
3.滞在国で収入を得ることができない
デジタルノマドビザは、あくまでもデジタルノマドのためのビザとなるため、収入源は滞在国以外の国で確保しておく必要があります。
例えば、日本に滞在しながら、日本でアルバイトをして収入を得るといった働き方はできません。
日本版デジタルノマドビザ取得要件は?必要書類は?
コロナ過以降の働き方の多様化により、ヨーロッパを中心に様々な国で注目を集めているデジタルノマドビザ、日本でもついに2024年4月1日よりデジタルノマドビザ制度が施行されました。
ここでは、日本版デジタルノマドビザの取得要件や必要書類を紹介します。
日本版デジタルノマドビザの取得要件
- 海外(日本以外)の業務に従事すること
- 日本での滞在期間が6カ月を超えないこと
- 租税条約を締結しており査証免除国の国籍者であること
- デジタルノマドビザ申請時に年収が1,000万円以上であること
- 民間医療保険に加入していること
また、デジタルノマドの配偶者又は子の取得要件は以下の通りです。
- デジタルノマドビザ申請者の扶養を受ける配偶者または子であること
- 査証免除国の国籍者であること
- 民間医療保険に加入していること
必要書類
- 査証申請書(写真貼付)
- 旅券
- 在留資格認定証明書 (注:在留資格認定証明書の提示がある場合、以下4~6は省略)
- 申請人の滞在中の活動予定・滞在期間を説明する資料
- 申請人個人の年収が1,000万円以上であることを証する書類
-納税証明書、所得証明書、雇用契約書、取引先との契約書(契約期間及び契約金額が明記されているもの等 - 本邦滞在中の死亡、負傷、疾病に対応した保険(傷害疾病への治療費用補償額は1,000万円以上)に加入していることを証する書類
-入証書及び約款の写し、クレジットカードの写し並びに付帯補償を立証する書類等
また、デジタルノマドの配偶者又は子の必要書類は以下の通りです。
- 査証申請書(写真貼付)
- 旅券
- 在留資格認定証明書(注:在留資格認定証明書の提示がある場合は、以下4~5は省略)
- 申請人の滞在中の活動予定と滞在期間を説明する資料
- 本邦滞在中の死亡、負傷、疾病に対応した保険(傷害疾病への治療費用補償額は1,000万円以上)に加入していることを証する書類
-加入証書及び約款の写し、クレジットカードの写し並びに付帯補償を立証する書類 (注:扶養者(デジタルノマド)が有する保険における家族補償による場合はその補償範囲等が確認できる資料) - 申請人と扶養者(デジタルノマド)の身分関係を証する書類
- 扶養者(デジタルノマド)の旅券の写し
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は、今世界で注目を集めているデジタルノマドビザについて解説しました。日本でも2024年4月1日より施行され、現在、続々と海外のデジタルノマドの人々が取得し来日しています。
デジタルノマドによるインバウンド効果はもちろん、日本の企業とのコラボレーションなど様々なビジネスチャンスが創出されることでしょう。
コワーキングスペースも例外ではありません。特にノマドワーカーとして「働く場所」というのは最重要となります。日本のコワーキングスペースも海外のデジタルノマドへ向け門戸を開き、新たなビジネスチャンスの創出を目指してみてもよいかもしれません。